こんにちは、Yutoです。
2023年で最も大きく見える満月「スーパームーン」を、8月30日夜〜8月31日朝にかけて観測できます。
ちなみに同じ月で2回目の満月のことを「ブルームーン」と呼ぶことから、「スーパーブルームーン」という全部盛りのような月を見ることができます。
この記事では今までに撮った満月の写真や満月の撮り方のコツを紹介します。
満月の撮り方
月の撮影時の基本設定
- カメラ:Sony α9
- レンズ:Sigma 100-400mm F5-6.3 DG DN OS
- 三脚、レリーズ使用
- 焦点距離:400mm
- シャッタースピード:1/100秒
- 絞り:8
- ISO感度:100
- フォーカス:マニュアル
- WB:太陽光
月は明るい被写体なので、1/100秒という速いシャッタースピードでありながら、絞りも8とそれなりに絞り込めますし、ISO感度も100でOKです。
この設定値にしている理由
・シャッタースピード:絞りとISOに対して暗くならず、月がブレない速さを意識
・絞り:開放F値が6.3だが1段絞って8にすることで解像度を良好にする
・ISO:低い数値のほうがノイズが少なくクリアにできる
・フォーカス:手動で合わせる時にピントが最も合うところに合わせる(振り子のように動かす)
基本設定の詳細解説
シャッタースピード(SS)
月は明るいので思っているより速いシャッタースピードで写ります。
そこそこ明るさをキープしつつ模様が見える程度の明るさにするのが理想。
シャッタースピードが遅くなると自転や風の影響でブレることがあるのでそうならないように注意しながら設定します。
絞り(F値)
開放値にしていると明るいのですが、周辺露光や解像度が落ちたりとレンズ性能をフルで引き出せないので、開放から1〜2段絞ったものにすることで画質を良くすることができます。
今回の作例で使ったレンズは開放値が6.3なので11〜13ぐらいまで絞り込むのが良さそうですが、今度は暗くなりすぎてしまうので明るさとのバランスを考えながら設定します。
ISO感度
設定できる一番低い数値(ほとんど100か200)が最もノイズが少なくクリアな画質になります。
実は50まで下げられたりするのですが、100や200と違って表示が違う場合は拡張ISOといって無理矢理下げる設定なので画質を向上させる目的では使わないです。
フォーカス
オートでもピントが合うこともありますが、マニュアルフォーカスのほうが信用度が高いです。
合わせ方のコツとしてはピントを無限遠の少し手前にすることです。レンズによってはぴったり無限遠で合うかもしれません。
ピントが合うところをピントの山と言いますが、ピントが合ったなと思った場所を見つけたら一回そのまま通りすぎてボカシます。そして再び一番合うところに戻してきます。
わざわざそんな手間をかける理由はピントが合ったと思ったところが本当に一番合っているのかという確認のためです。
WB(ホワイトバランス)
僕の場合は太陽光(5000K)に設定しています。もう少し白めが良いなと思ったら蛍光灯(3800K)ぐらいに設定すると良いです。
写真の記録形式をRAWにしておけば後で調整することができます。RAWでの記録がオススメ!
三脚とレリーズがあると良い
月は比較的明るく、シャッタースピードが速くても良いので頑張れば手持ちでも撮れなくはないといえます。
しかしながら望遠になればなるほど、シャッタースピードが速くてもブレやすくなるので三脚があるほうが良いです。
さらにレリーズがあればカメラに直接触れずともシャッターが切れるのでよりブレにくくなります。
三脚を使う場合はカメラとレンズの手ぶれ補正を切っておいてください。
シャッタースピードの設定目安
望遠で撮る場合、月の場合はおおよそ1/100秒でブレないように見せられます。
1/50秒と比較すると月の表面がはっきり見えていることがわかります。スマホだと判別しにくいかも…
ちなみに
500ルールという500÷焦点距離(フルサイズ換算)=X秒 という式もありますが、望遠域になると破綻しています。
500÷400=1.25秒で撮るとブレブレになります。
14mm〜50mmぐらいの広角〜標準域は500ルール適用で大丈夫です。何ミリぐらいから破綻してくるのは未検証ですが。
とりあえず2400万画素で400mmに関しては1/100秒がベースと考えて良さそうです。
撮影した後は画面を拡大してブレやボケがないかチェック!
カメラの背面ディスプレイは小さいので、拡大機能を使ってチェックしましょう。月の輪郭や模様部分を見るとチェックしやすいです。
フルサイズ換算で400mm以上の望遠レンズが一本あると幸せ
400mmは超望遠域に入る画角になりますが、意外と月は小さいイメージですよね。
月だけを撮るなら1200mmぐらいが理想ですが…
現状、Eマウントで使えるのは600mmまでです。それ以上の画角はテレコンバータをつけて対応になりますね。
*フルサイズ換算とは
センサーサイズによって同じ画角でも数値が異なります。
例えばこれらのセンサーサイズは全て同じ画角です。
フルサイズ:400mm
APS-C:約260mm
マイクロフォーサーズ:200mm
ところがセンサーサイズごとの画角を毎回表示していると膨大な情報量となるため、基準値が設けられています。
元々は35mmフィルムでの換算値が基準となっており、センサーサイズが35mmフィルムと同じなフルサイズセンサーであるためフルサイズ換算とも呼ばれます。
35mm換算とも呼ばれますが、こちらは画角と混同してややこしいのでここではフルサイズ換算と言っています。
Eマウントで600mmの画角をカバーしているレンズは次の通り。
ソニー純正はやはりお高いですが、最長5年のワイド保証がつけられて故障、破損、水没など幅広く対応しています。
サードパーティのシグマは値段が安いのがやっぱり魅力。
ちなみに2023年中にソニーは「FE 800mm F5.6 GM」を出すかもと噂が出ています。いくらになるんだろう 笑
望遠レンズは月以外の天体を撮るのにも大変役立ちます。
満月だけでなく月食や日食のような天体現象は数年〜数十年に一度なので、その時発揮できる最大限の行動でせっかくの機会を逃さないようにしたいですね。
ちなみにα9(2400万画素)で400mmで撮ったものを等倍にするとこんな感じです。意外としっかり解像してます。
SNSやブログでの使用であれば400mm程度でも対応できそうですね。
満月がある風景
月と他の被写体を絡める時は月が低い時がおすすめ
満月の時は特徴的なことがひとつあって、月の出が日没の少し後、月の入りが日の出少し前です。つまりブルーアワーの時間帯に空の低いところにある月を撮ることができます。
月と他の被写体を絡める時に低い位置にあることと周りの明るさと差が少ないブルーアワーの時間帯は最高の条件です。
105mm・SS:1/320s・F:5・ISO:100
月と灯台のサイズ感が同じぐらいになるようにバランスを考えます。灯台との距離感が大事ですね。
運良く灯台の側に人がいたので大きさの表現もできました。
105mm・SS:1/250s・F:4・ISO:100
「岐阜シティ・タワー43」の最上階から撮影。
遠景と月を合わせて幻想的な風景を切り取りました。ちょっと横長にして黒帯をつけることで映画っぽくしています。
62mm・SS:1/60s・F:8・ISO:100
こちらは満月2日前ですね。見た目はほぼ満月に近いですが、少し右上が欠けています。月齢は13〜14ほど。
満月がわかる月齢とは
月は29.5日周期で満ち欠けをしており、その半分の14.7〜14.8ぐらいが満月になります。
まとめ
満月は比較的明るいので、天体写真の入門としてうってつけです。
望遠レンズがあると月のクレーターなども観察できて楽しいですよ!
他の被写体と絡める時はブルーアワーに撮ると幻想的になりやすいです。設定値は基本設定の詳細解説のところで考え方を記載しているので、それに応じて周りの環境に合わせてくださいね。
また、実際に満月と風景を絡めた写真と設定値も記載しています。合わせてご覧ください。
記事をご覧の皆さまにとって役に立つ内容であり、素敵なスーパームーンが撮れていれば幸いです。
ちなみに次は2023年9月29日が満月で「中秋の名月」です。