こんにちは、Yutoです。
花火の季節なので、先日花火の現像の記事を書きましたが、この時期は花火と同じく多く見られるのが夕焼けです。
夕焼けは見た目は綺麗なのですが、写真に撮ってみると意外と処理が難しい。特に日没前の太陽周り!
この記事では夕焼けの現像で太陽周りの現像方法をちょっとだけ紹介します。
通常の夕焼け現像の場合

これは撮って出しです。
手前が暗いですが、データとしてはしっかり残っています。
空と地面は明暗差が激しいので、ヒストグラムを見ながら撮ると、極端な黒つぶれ・白飛びが少なくなります。

見た目に近い状態に現像しました。
空はちょっと印象的に。
地面は意外とよく見えています。太陽が出ている時間は結構明るいです。
特に過剰な現像はしていないので、空も地面もわりとナチュラルになりました。空と地面の境にある雲の影の部分の処理はちょっと間違えるとものすごく不自然になるのですが、特に難しいことはしなくても大丈夫です。
見た目に忠実な現像は大きなディスプレイで見ると、たとえ日常的に見る景色であっても臨場感があってとても良いです。自然は偉大です。
27インチの4Kとか5Kのディスプレイの近くで見ると幸せです。80インチの有機ELディスプレイで見せられようものなら、最高に幸せすぎて思わず買ってしまいそうになります。
そんな見た目に忠実な現像は、小さなディスプレイ、特にスマホのディスプレイなんかで見ると地味に見えてしまいます。大きさが足らないので本来の色や立体感では迫力が薄くなるんですね。
そこでそれらの媒体で迫力があるように見せるために、演出が必要となります。それが今からやる現像の紹介です。
空を演出した現像

それでは、今度は空を演出した現像にしてみます。

まず、空の上のほうからグラデーションツールを使って、補正していきます。
雲と空の対比を強調させたいので、かすみの除去を行います。
ちょっとアニメチックになりましたね。君の名は。

次は円形ツールを使って画面全体の色温度と彩度を上げます。
そうすると空の青みを残したまま、オレンジに焼けている雲が演出できました。

ここがポイントです。
円形ツールを使って、円の外側にだけ効果を出しています。
つまり太陽周り以外の色温度を上げています。
太陽周りは円形ツールのぼかしを100にしてほんの僅かに効果が出るようにしています。
これが、円形ツールではなくて基本補正だったらどうでしょうか。

基本補正でほとんど同じ効果を施しましたが、太陽周りの色が飽和しています。
太陽周りは黄色要素が強く、飽和しやすい環境になっています。
もちろん効果を弱くすれば太陽周りは自然になるのですが、周りは円形ツールの時ほど強調できていません。
太陽周りは基本的に触らないか、ちょっと白飛びさせてやるぐらいでちょうど良いです。

で、先ほどの円形ツールで部分補正した写真に戻します。
だいぶ夕焼けらしくなってきたので、ここから一気に演出していきます。
全体の色温度を上げて紫に寄せてコントラストなどを調整していきます。テクスチャを使うと雲がもっと浮かび上がるので結構効かせました。

基本補正だけでなく、トーンカーブの調整も使ってみると、基本補正だけでの調整とは違った雰囲気の写真に仕上げることができます。
やっていることは画面全体に調整をかけているので、同じようなことなのですが、トーンカーブはより直感的にコントラストを調整することができます。
トーンカーブに関しては別記事で詳細を書いたので、興味がある方はぜひ見てみてください。

ここまでの調整で、太陽周りにある雲の影の部分だけ違和感が出てしまいました。
他の場所に比べて明らかに色が抜けた状態になっています。
ブラシツールでその場所を補正してやります(赤くマスクがけしている部分)マスクがけしたら周りの雲の影と合うようなトーンに修正します。

最後にちょっとずつ修正をかけながら仕上げていきます。
これぐらい空を演出してしまうと、忠実現像の時みたいに地面のディティールを出すと逆に不自然なので、シルエットにしておきます。とはいうものの真っ黒なのはなんなので、ちょっとだけディティールが見えるようにシャドウをやや上げています。

完成しました。
かなり印象が変わりました。


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おわりに
写真は今回紹介した表現以外でも様々な方法で表現ができます。
そのため、写真には記録的な役割をはたせるだけでなく、絵画的な役割もはたすことができます。
一方で絵も記録的な役割を持てますし、絵画的な役割も持てます。
僕はデジタル写真に対してカメラとパソコン(スマホ)で描いた絵という認識を持っています。
筆で描いた絵とは描く手段が違うだけという認識ですね。もちろんカメラと筆はずいぶん異なる道具なので、それぞれで描く絵の特性は大きく変わってくるのですが。
デジタル写真が持つ特性を活かして幅広い表現を楽しみたいですね。
それでは、また。
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